地域おこし協力隊は副業OK?副業禁止?自治体によって違うため要注意

地域おこし協力隊

こんにちは、沼津市地域おこし協力隊のいまちゃんです。

私は2023年5月から沼津市の地域おこし協力隊として活動しており、協力隊活動の代名詞として「地域商社 Aquamarine Numazu」を立ち上げることにしました。

私が地域おこし協力隊の募集を探していた時、注意して確認していたのが副業について。本記事では、「地域おこし協力隊は副業OK?それとも副業禁止?」について説明していきたいと思います。

本記事の簡単なまとめ

  • 地域おこし協力隊の副業は、短期(家計の確保)と長期(起業に向けた種まき)の両面がある
  • 自治体との雇用契約あり=地方公務員
    →副業が自由にできない
  • 自治体との雇用契約なし=フリーランス
    →副業が自由にできる

地域おこし協力隊が副業を考える理由

この記事を読んでいる方は、みなさん地域おこし協力隊に興味がある方、応募を検討している方だと思います。そして、「地域おこし協力隊になったら副業した方がいいのかな…」と悩んでいるはず。地域おこし協力隊が副業を考えるべき理由は大きく2つあります。

短期的:地域おこし協力隊の給料だけでは家計が厳しい場合あり
長期的:地域おこし協力隊の終了後の収入を確保する必要あり

短期的:地域おこし協力隊の給料だけでは家計が厳しい場合あり

地域おこし協力隊の給料は最大月23万3千円+各種手当。独身1人暮らしであれば難なくやっていけそうですが、結婚して子どもがいるような家庭にとっては厳しい給与水準。家計が赤字では生きていくこともままならないため、副業を考える必要が出てきてしまいます。

長期的:地域おこし協力隊の終了後の収入を確保する必要あり

地域おこし協力隊が副業を考えるもう1つの側面として、地域おこし協力隊の任期が終わった後、定住するための仕事の種まきをするという面もあります。総務省が発表しているデータとして、地域おこし協力隊は任期終了後、約65%が同じ地域に定住しているというデータがあります。

<地域おこし協力隊の定住状況等に係る調査>令和3年度調査結果 / 総務省

そして、同じ地域に定住した隊員のうち、約40%が起業をしています。

<地域おこし協力隊の定住状況等に係る調査>令和3年度調査結果 / 総務省

起業の内容も様々な実績があります。

任期終了後定住した隊員の動向(起業・事業承継編)

〇飲食サービス業(古民家カフェ、農家レストラン 等)
〇宿泊業(ゲストハウス、農家民宿 等)
〇美術家(工芸含む)、デザイナー、写真家、映像撮影者
〇小売業(パン屋、ピザの移動販売、農作物の通信販売 等)
〇6次産業(猪や鹿の食肉加工・販売 等)
〇観光業(ツアー案内、日本文化体験 等)
〇まちづくり支援業(集落支援、地域ブランドづくりの支援 等)
〇酒造の承継、民宿の承継 等

<地域おこし協力隊の定住状況等に係る調査>令和3年度調査結果 / 総務省

どれも卒隊後すぐに始められるような起業内容ではありません。地域おこし協力隊の任期中から事前準備をしたり、スキルを蓄えておくことが不可欠です。

地域おこし協力隊の雇用条件

地域おこし協力隊は副業OK?それとも副業禁止なのか?地域おこし協力隊が副業できるかは、自治体との雇用条件によって変わってきます

  • 自治体との雇用契約あり(会計年度任用職員=地方公務員)
  • 自治体との雇用契約なし(委託関係を締結=フリーランス)

Ⅰ 地域おこし協力隊の受入れに当たっての留意点

2.地域おこし協力隊の任用・勤務条件について

「地域おこし協力隊推進要綱」(令和2年4月1日付総行応第69号)においては、地域おこし協力隊員の「委嘱の方法、期間、名称等は、地域の実情に応じて弾力的に対応することで差し支えない」こととしています。

(中略)

これらを踏まえると、各地方自治体の地域おこし協力隊の任用の形態等については、主に以下の2つになります。

① 会計年度任用職員
② 地方自治体が任用せず、委託関係を締結

地域おこし協力隊の受入れに関する手引き(第4版) / 総務省地域力創造グループ地域自立応援課

ここからは、自治体との雇用契約あり/なしの違いについて、もう少し詳細を説明していきます。

自治体との雇用契約あり(会計年度任用職員=地方公務員)

自治体との雇用契約ありのパターンは、会計年度任用職員として任用されます。いわゆる地方公務員です。地方公務員のため、自治体との雇用条件においては地方公務員法が適用されます。そして、地方公務員は、地方公務員法第38条で営利企業への従事等の制限が定められています。これがいわゆる「公務員は副業をしてはいけない」ということになってくるわけです。

ということは、雇用契約ありの地域おこし協力隊=副業禁止と理解してしまいがちですが…実はそういうわけではありません。地域おこし協力隊の受入れに関する手引きで、総務省が「営利企業への従事等の制限があるから副業禁止!ではなく、柔軟に認めてあげてね」と明記してくれているんです。

会計年度任用職員については、地公法第38条において、営利企業への従事等の制限が定められており、従事する場合は任命権者の許可が必要とされていますが、その許可にあたっては、公務に支障を来したりするおそれがないよう十分留意しつつ、勤務形態等を勘案して必要に応じ弾力的な運用を行うことが可能です。この点、許可権者を現場の状況を把握している所属の管理職とするなど、運用面で効率化を図っている地方自治体もあります。

地域おこし協力隊の受入れに関する手引き(第4版) / 総務省地域力創造グループ地域自立応援課

つまり、雇用契約ありの地域おこし協力隊=副業禁止ではありません。ただ、運用が各地方自治体に一任されているため、自治体によって副業を認めてくれるか認めてくれないかに差があるのが実態です。

申請すれば基本OKの自治体もあれば、一切認めてくれない自治体もあります。雇用契約ありの地域おこし協力隊を考えている場合は、自治体に副業ができるかどうか確認を取るようにしましょう。

自治体との雇用契約なし(委託関係を締結=フリーランス)

自治体との雇用契約なしのパターンは、委託関係を締結します。いわゆるフリーランスです。

地方自治体又は他の団体と地域おこし協力隊員との間に任用関係等がない形態としては、例えば、地方自治体と隊員との間で地域協力活動をする旨の委託契約を締結する場合等が想定されます。

地域おこし協力隊の受入れに関する手引き(第4版) / 総務省地域力創造グループ地域自立応援課

地域おこし協力隊の受入れに関する手引きにも、最低限の取り決めについては検討が必要とされていますが、基本的にはやることをきちんとやっていれば大丈夫です。

加えて、こうした地域おこし協力隊員と地方自治体との間に任用関係がない場合等には、以下のような点について留意する必要があります。

①地域協力活動のフォローについて
地域おこし協力隊員の地域での活動が円滑に行われるよう、活動報告や各種相談等をどのように行うのか、あらかじめルールを決め、場合によっては、契約に記載することなどを検討する必要があります。

②活動規律の確保について
地域おこし協力隊員の活動は、地域住民との信頼関係があって成り立つものであり、隊員の活動規律を十分に確保していくことが必要です。

地域おこし協力隊の受入れに関する手引き(第4版) / 総務省地域力創造グループ地域自立応援課

地域おこし協力隊の雇用条件まとめ

ここまで地域おこし協力隊の雇用条件について説明してきました。まとめると以下のような表に整理されると思います。

雇用条件ありなし
雇用形態会計年度任用職員
(地方公務員)
委託関係を締結
(フリーランス)
法律地方公務員法なし
副業自治体で差あり自由にできる

結論としては、地域おこし協力隊をしながら副業をするのであれば、自治体との雇用契約なし(委託関係を締結=フリーランス)がオススメです。

まとめ

今回の記事では、地域おこし協力隊で副業はできるのか?について解説してきました。

地域おこし協力隊になりたい!という方は、将来の起業思考が非常に強い方が多いと思います。本業の地域おこし協力隊で地域とのつながりを手に入れ、副業で将来の起業に向けたノウハウを蓄積する。そして3年間の任期後、本業のつながりと副業のノウハウを掛け合わせて起業を実現する。

移住した地方で「定住」するためには仕事が不可欠です。地域おこし協力隊を活用した移住計画を失敗に終わらせないためにも、副業のビジョンは明確に持っておきたいですね。

  • 地域おこし協力隊の副業は、短期(家計の確保)と長期(起業に向けた種まき)の両面がある
  • 自治体との雇用契約あり=地方公務員
    →副業が自由にできない
  • 自治体との雇用契約なし=フリーランス
    →副業が自由にできる

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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